メグ・ライアン、ジョン・キューザック、クリストファー・ロイドなどハリウッドスターたちが吹き替えをしたアニメ映画『アナスタシア』。
ミュージカル化され、来年ブロードウェイで初演を迎えます。
アニメ映画でミュージカル化され、かつブロードウェイで上演された作品を挙げると、
- 『ライオン・キング』
- 『リトル・マーメイド』
- 『美女と野獣』
など私の知る限り、今まではディズニー作品しか果たすことはできませんでした。
では、数多くあるアニメ作品の中でなぜ『アナスタシア』がブロードウェイでの上演にまでたどり着くことがたのでしょうか。
今回は、本場アメリカのWEBサイト「MONITOR」に掲載された記事「'Anastasia': Why the film is becoming a Broadway musical」を参考に、アニメ版『アナスタシア』の魅力をお届けします。
MONITORに書かれた記事を翻訳すると以下のようになります。
1997年に公開されたアニメ映画『アナスタシア』が来年の春に、ミュージカル化されブロードウェイにやってきます。
上演はマンハッタンのグレート・ホワイト通りに面するブロード・ハースト劇場です。
アニメ版の監督は『リトル・フット』『おやゆび姫 サンベリーナ』のドン・ブルースとゲイリー・ゴールドマン。物語はロシア最後の皇帝ニコライ二世の娘アナスタシア・ニコラエヴナが主人公、革命によって殺害されたロマノフ一族で唯一アナスタシアが逃げのびたという「アナスタシア伝説」を基に作られました。
声はメグ・ライアン、ジョン・キューザック、クリストファー・ロイド、アンジェラ・ランズベリー、ケルシー・グラマー。
当時の当時の若手ハリウッド・スター、ベテランたちが勢ぞろいしています。
では、なぜアニメ『アナスタシア』はブロードウェイでの上演ができるほどの成功をおさめることができたのでしょうか?
それでは、1997年当時に発表された批評家のコメントを見てみましょう。
「素晴らしい映画だった。
シーンのほとんどが息をのむほど美しい。音楽もアニメーションを台無しにするようなポップなものではなく、しっかりとミュージカルの規則にそったものが多いので、アニメーションと上手くマッチしている。
また、歴史をテーマにしたアニメは珍しいが、そこに興味を持った。もしかしたらロシアやヨーロッパの歴史を正確に描いていないと不満を言うものもいるだろうが、むしろハリウッドのアニメで歴史を正確に描いたものを見たことがあるかい?」
また、80年代から90年代にかけて公開され、今でも有名なアニメ映画(『リトル・マーメイド』『ライオン・キング』)のように、歌の評価が高く、映画ファンによく知られているという点も見逃せません。
「シュテファン・フラハティとリン・アーヘンスが生みだした歌は、ディズニーがアニメ史に残してきた曲ほどの功績は残せなかったかもしれないが、それでも『Once Upon a December』『Journey To The Past』は聴く価値のある歌です。」
このように、歌とアニメーション、テーマの三拍子がそろったからこそ、今日まで続く成功があります。
以上です。
この批評を見ると、
- アニメーションの美しさ
- 音楽の完成度、アニメーションとのマッチ
- 歴史をテーマにした作品の新鮮さ
この3つが『アナスタシア』の面白さの秘密だと批評家は述べています。
ここから、MONITORに掲載された記事から私なりの考えをお伝えします。
1.アニメーションの美しさ
最初の「アニメーションの美しさ」についてですが、監督でありアニメーターのドン・ブルース、ゲイリー・ゴールドマンは元々ウォルト・ディズニー・プロダクション。
つまり、それまではディズニー作品を手がけてきたのです。最先端かつ高度なアニメーション技術のスキルがある二人が、独立して生みだしたアニメが「アナスタシア」だったのです。
今でも「アナスタシア」がレンタルショップでディズニー作品の列に置いてあったなんて話を聞きますが、確かにディズニー作品のキャラクターに似ていますよね。
2.音楽の完成度
音楽を担当したのは、デヴィッド・ニューマン。この作品でアカデミー主題歌賞、音楽賞の二つにノミネートしました。
アルフレッド・ニューマンという名はどこかで耳にしたことありませんか?
チャップリン『街の灯』やスター・ウォーズのメインテーマの前に流れる20世紀FOXのファンファーレを生みだした作曲家です。アカデミー賞に45回ノミネートし、9回受賞したハリウッドの歴史をまさに作り出してきた天才。
デヴィッドの息子がアルフレッドです。アニメ『アナスタシア』は1956年公開の「追憶 Anastasia」を原作にしています。この作品、実はアルフレッド・ニューマンが音楽を担当しました。
つまり親子二代に渡って「アナスタシア」作品の音楽を担当したのです、少し感動しますよね。
デヴィッド・ニューマンのデビュー作品はティム・バートンの「フランケンウィニー」。弟のトーマス・ニューマンも作曲家でアカデミー賞ノミネート6回。いとこのランディ・ニューマンも「トイ・ストーリー」「モンスターズ・インク」など数多くのディズニー映画に曲を提供しており、16回のアカデミー賞ノミネート経験があります。
このニューマン一族の一人ですから、それは当然曲も良いですよね。
3.歴史をテーマにした珍しさ
映画『アナスタシア』が好きな人は、おそらく本物のアナスタシアについて調べたことがあるはず。アナスタシアは最近の研究で、家族と共に殺害された可能性が高いということが判明しました。
これを知ってしまっても、まだどこかに生きているのではというロマンチックな現実感があります。
この現実感と、映画の内容がリンクしているからこそ、つまりアナスタシアの物語が私たちの現実と地続きでつながっているからこそ、公開から20年経った今でも人気を保ち続けらるのだと思います。
- アニメーションの美しさ。
- 音楽の完成度、アニメーションとのマッチ。
- 歴史をテーマにした作品の新鮮さ
これが『アナスタシア』人気の秘密?
いやいやもっとあります!
今後も、『アナスタシア』の魅力について語ってゆきますよ!それではまた。